User’s Voice

2009 1103  FILE 1 DYNAUDIO FOCUSシリーズ 辻 紀宏さん

「自然の中の自然を表現してくれるスピーカーだからです。」

JR岐阜駅を降り立つと、突風が顔に突き刺さる。
小さい体を、さらに縮こませながらタクシーに乗り込んだ。
「岐阜の冬は寒いんだろうなぁ。」などと考えながら辿り着いたのが、今回のUser’s Voice 辻様のお宅だ。
ベルを鳴らすと、庭から奥様が暖かい笑顔で迎え入れてくれた。

「そもそも知り合ったのはベートーヴェン第九のコンサートなんです。」
と、顔を真っ赤に染めながら話してくれた辻さんは、生活の中心が音楽になっているほどの音楽愛好家のカップルだ。
私が違う話をしようとしても、音楽の話に引き戻されてしまう。
奥様はピアノを弾き、合唱団に所属していることも話してくれた。

「オーディオ的な自然ではなく、自然の中の自然を表現してくれるスピーカーだからです。」

なぜ、ディナウディオのフォーカス220MK2を選ばれたのですか?との問いに、こう答えてくれた辻さんは、
「物理特性とかスペックとかは関係ないんです。 素材がなんだとかは聞く側からしてみればどうでもいい事。スペックなどは意識せず、 心からリラックスできるスピーカーはディナウディオしかありません。」
と、言いきる。

奥様を目の前にして、女性に例えると?と意地悪な質問にも
「こてこて化粧をしていない、素肌美人でしょうか。」
と答えてくれた。
隣で、奥様は嫌な顔ひとつせず、おおらかに笑っている。
いつもは、どのように聞いているのですか?と、聞くと、
「寝転んだりして自由に聞いています。」
と、そのポーズを写真に撮らせてくれる。

聞き方さえも、こうでなければという概念がなく自然体をとる辻さんは、 心から音楽を愛してるいることを感じさせてくれた。

「第九は、日本人の和の心です。」

辻さんのお部屋は、第九でいっぱい。
第九とは、あのクリスマスや大晦日に必ず演奏されるベートーヴェンの第九交響曲である。

「基本がライブ音源です。」 
と、私の前に出していただいた第九のCDソフトは50枚弱もある。 
その数に驚きながら、これほどまでの第九のファンはいるのだろうかと思う。 
その中一枚を手にとり辻さんは 
「皆で喜びを分かちあうところ。日本人の”和=輪の心”に通じる繊細な表現が感 じられます。」 
「この演奏が一番好きですね。うまいし、表現力抜群でテンポが狂わない。」 
と、嬉しそうに語ってくれた。 
「今年も夫婦ともども年末には第九のコンサートで忙しいんです。」 
と、棚から一枚のパンフレットを出してくれた。*1

「第九は勿論大好きですけど、私の一枚となると・・・」
と言いながらCDケースから取り出してくれたソフトは成底ゆう子の「この地球に生まれて」だ。
「歌い手の魂が伝わる・・・これほどまでに歌い手の魂が伝わるディスクはこれしかありませんと断言できます。」
と、熱く語ってくれる。

さらに、聞いていてどのような魂を感じますかという問いには、
「暖かい心、家族、仲間・・・そのようなものが私に入り込んできますね。そんな気持ちがこのディスクには込められている。元気の元が入っていると申しましょうか。」
「クラシック意外でもジャズ、ポップスは聞きます。その中ではこれが一番ですね。沖縄音楽は夏川りみさん、Kiroroさんなども含めて大好きです。」
と答え、紹介してくれた。

最後に、奥様に制止されながら、出してくれたのが奥様手製の「買い物カード」。
「これを出せば・・・。」
と、多くを語らず一緒にコンスクエンスのカタログの上に載せて見せてくれた。
辻さんは下を向きながら満面の笑顔を押し殺しているようだった。

ご夫婦で同じスピーカーを愛せることは珍しいと思う。
2人の中には音楽で通じ合っている部分が多いと感じた。
音楽を愛する事で、この先の夫婦生活も円滑になるだろうし、感動を忘れない人生を送れるのではないだろうか。
羨ましい限りである。

後日、奥様の礼子さんから手紙をもらいましたので、ここに掲載しておきます。

本文:
私がこの世界を知ったのは彼に出逢ってからです。 それまでは音楽を聴いたり歌ったりする事が大好きで 家や車の中でしょっちゅう聴いていたのですが、 聴けばそれでよいという感じで、音にこだわるなんて事は 考えもしませんでした。
しかし、彼の趣味を知り、スピーカーから流れてきた音を 聴いた時にはびっくりしました。 それまで私が聴いていた音と、随分違ったからです。
それからは彼と一緒に色々試しながら音楽を聴く事が 楽しみになりました。
私は彼のようにオーディオのことは全くわかりませんが、 聴く事だけはできるので、それを楽しませてもらっています。

*1:
紀宏さんはウイーン岐阜管弦楽団(1991年1月発足)で舞台監督の一人として縁の下で活動を支え、 妻の礼子さんはウイーン岐阜合唱団(1998年2月結成)でソプラノ担当をしている。
今は2人共、年末のコンサートの準備に勤しんでいる。

ウイーン岐阜合唱団と管弦楽団について
音楽監督に平光 保氏を迎え、気取らない普段着のクラシックを目指す。「岐阜の街ウイーンのごとく音楽し(おとたのし)」を モットーに定期公演、ニューイヤーコンサート、学校公演にも力を注ぎ、音楽愛好者底辺の拡大を図っている。
(ウイーン岐阜合唱団パンフレットより抜粋)

お知らせ

◇◇◇第11回ウイーン岐阜合唱団 第九演奏会◇◇◇

開催日 : 2009年12月27日(日)
      14:15開演(13:45開場)
場 所 : 長良川国際会議場メインホール
指 揮 : 平光 保
合 唱 : ウイーン岐阜合唱団
演 奏 : ウイーン岐阜管弦楽団
曲 目 : 交響曲第九番ニ短調作品125「合唱付」・・・ベートーヴェン
      美しく青きドナウ          ・・・ヨハンシュトラウス