歴史を築いた偉大なベーシスト達 第4回
早いものでもう8月に突入です。

梅雨明けした途端に手のひらを返したように「夏」ですね!

コロナ騒動も半年ともなると、さすがに疲れますね・・・

そうも言ってられないので日々頑張るしかないですね!

8月も当店on and onは感染防止を徹底して通常通り営業しておりますのでお気軽にお越しください!
さて、このシリーズもポール・マッカートニーに始まり、ジェームズ・ジェマーソン、ピノ・パラディーノと続き、4回目を迎えました。

今回、私サトーBが、ご紹介する偉大なベーシストは・・・
アンソニー・ジャクソン

「孤高」と言葉が最も似合うベーシスト、アンソニー・ジャクソン!

Anthony Jackson
1952年アメリカ、ニューヨークの生まれ。僕的には「世界一の職人」という評価のベーシストです。

特徴は「とにかく上手い!」です。月並みな表現ですみません・・・
でも本当に他の言葉が見当たらないんです。
キャプテン・フィンガーズ

アンソニーが世界でに認知されるようになったのは1977発表のリー・リトナーのこのアルバムからです。ウルトラ難解なユニゾンのリフを軽々と弾きこなすアンソニー!まさに「バカテク!」

当時は「バカテク」という表現がよく使われていましたが昨今はあまり言いませんね・・・「超絶」が主流ですかね・・・
エレガント・ジプシー

「キャプテン・フィンガーズ」とほぼ同時期に発表された、このアル・ディ・メオラの代表作「エレガント・ジプシー」でもアンソニーの素晴らしい職人技を堪能できます。

アル・ディ・メオラはチック・コリア率いるスーパー・フージョン・グループ「リターン・トゥー・フォーエバー」に抜擢され一躍有名になったギタリストで、当時は「速弾き」の代名詞のような存在でした。そのギターの「速弾き」をベースでビシバシとユニゾンで決めてしまうアンソニーは鬼気迫る迫力を感じます。

そんなアル・ディ・メオラのアルバムにアンソニーが参加したことによって、アルバム全体の音楽そのもののクオリティーがより高い次元に到達したことは確かです。

この頃のアンソニーはコーラスやフランジャーなどのエフェクターを多用し、ジャズ・フージョン界では珍しく、Pickでも弾くというかなり独特なスタイルで他のベーシストとは一線を画していました。
恋するチャカ

R&B界のレジェンド、チャカ・カーンのアルバムでもアンソニーの名演が多々聴けます。

この頃のアンソニーはとにかく頻繁に弦を替えることでも有名でした。レコーディングでは下手したらワンテイクごとに替えていた時もあるそうです。歴史を築いた偉大なベーシスト達第2回で紹介したジェームズ・ジェマーソンは16年間弦を交換しなかったそうです・・・アンソニーもジェマーソンに影響を受けてベースを練習したそうですが、弦に対する考え方は正反対だったようです。

これも有名な話ですが、アンソニーがレコーディングした後のスタジオのゴミ箱には当然新品同様の弦が何セットも捨ててあり、当時駆け出しのスタジオ・ミュージシャンだったマーカス・ミラーがアンソニーが帰るのを待って、ゴミ箱をあさり「まだ余裕で使えるじゃん!ラッキー!」と持ち帰ったそうです。後日アンソニーが「若いマーカス・ミラーという奴がお前さんの捨てた弦を持ち帰っているぞ。」と聞いて、それからアンソニーは弦を捨てる時わざわざペンチで切断して2度と使えないようにして捨てたそうです。普通に考えるとケチというか意地悪なんですが、アンソニーからすれば「マーカス君、自分の商売道具くらい自分で買いなさい。そうしないと大成しないよ。」と伝えたかったような気がします。


それ以降のアンソニーは正に「飛ぶ鳥を落とす勢い」で世界中の様々なジャンルのアーティスト達からファーストコールでオファーを受け続けます。

ミシェル・カミロ、ミシェル・ペトルチアーニ、サイモン&ガーファンクル、スティーブ・カーン・・・

日本のアーティストでは日野皓正、渡辺貞夫、矢野顕子・・・

アンソニーがサポートしたアーティストの名前を羅列したらきりがありません・・・
コントラバス・ギター

アンソニーといえばハイエンドベースメーカーとして名高い「フォデラ」社特注の6弦ベースが代名詞となっています。

彼自身は「コントラバス・ギター」と命名して、「フォデラ」社と研究に研究を重ねながら何本も更新しています。

始めの見出しの画像も「フォデラ」社の6弦ベースですが、このアンソニーの「コントラバス・ギター」とはよく見ると色々異なります。

少しマニアックな話になりますが、この楽器は本当に「究極のエレキベース」と呼んでもよいくらい純粋に品質を追求していて、音の劣化を防ぐためにアウトプットジャックは標準ジャックではなくキャノンだったり、ボリュームやトーンのつまみが一つもありません。こんなマニアックなエレキベースは他には類を見ません・・・
アンソニーの左手のフォーム

これまたベースのマニアックな話で恐縮なんですが・・・

アンソニーがベースを弾く左手のフォームなんですが、お世辞にも「美しい」とは言えないのです・・・

世界の一流のベーシスト達、それも特にジャズ・フージョン界のプレイヤー達のフォームはたいがい無駄がなく美しいものなのですが、アンソニーの左手はバタバタとしていて汚いのです。

しかし、出てくるサウンドは完璧なんです・・・

まー、音楽ですから結果としてサウンドが良ければフォームなんてどうでもよいのですが・・・

ただ、僕としては「こんなフォームで、どうしてこんな素晴らしい音楽が・・・」と不思議になります。
上原ひろみ

日本を代表するジャズ・ピアニスト、上原ひろみトリオでもアンソニーは2011年以降、ドラムのサイモン・フィリップスと共に参加して素晴らしいパフォーマンスを披露しています。

ただ、近年のアンソニーは病気がちでツアーをキャンセルなどをしています。早く元気になって、また圧倒的な職人技を披露していただきたいと切に願います。


歴史を築いた偉大なベーシスト達第4回は、孤高のベーシスト、アンソニー・ジャクソンをお届けいたしました!次回もお楽しみに!(サトーB)