歴史を築いた偉大なベーシスト達 第9回
このコロナ禍でオリンピックの開催が近づいています。

いろんな人がいろんな事を言っていますが、何とか無事に終わればよいですね・・・

せっかくだから何か一つの競技くらい生で観たいと思うのですが、感染者の増加に歯止めがかからないので無観客の方向に向かっていますね・・・

やはり生で観るのは難しいでしょうね・・・
このシリーズは今までは全てエレクトリック・ベース奏者を紹介して来ましたが今回初めてバリバリのウッド・ベース奏者を紹介させていただきます。

まさにジャズ界の巨匠です!
Ray Brown

レイ・ブラウン(Ray Brown 1926年10月13日~2002年7月2日)

間違いなくこの人は”ベース”という楽器だけに限定される事なく、Jazzという音楽自体の発展に貢献した偉大な音楽家の一人です。

Jazz Bass=Ray Brown と言っても過言ではないくらい教科書のような模範的な演奏だと思います。
Oscar Peterson

レイ・ブラウンを語るのにカナダ出身のピアニストでジャズ界の巨匠オスカー・ピーターソンは必要不可欠です。

ピアノ、ベース、ドラムの3人による”ピアノ・トリオ”というジャズにおける基本的な編成で「オスカー・ピーターソン・トリオ」は揺るぎない地位を確立しました。

超絶技巧でありながらも、アバンギャルトな方向には行かずハッピーな親しみやすい演奏に徹したこのトリオは多くのジャズファンを魅了しました。

ピアノ・トリオは「ビル・エヴァンス・トリオ」とキース・ジャレットの「スタンダーズ」とこの「オスカー・ピーターソン・トリオ」がジャズ史上有名ですが、間違いなく「オスカー・ピーターソン・トリオ」が良い意味で最もリスナー寄りのポップな演奏をしていました。

レイ・ブラウンは長年に渡りその「オスカー・ピーターソン・トリオ」に参加し数多くの名演を残しました。
プリーズ・リクエスト

原題は「We Get Requests」ですが、邦題は「プリーズ・リクエスト」として有名です。

数あるオスカー・ピーターソン・トリオのアルバムの中でも人気のアルバムです。僕の長年の愛聴盤でもあります。

オスカー・ピーターソンのピアノはもちろん、レイ・ブラウンのベースはまさに「いぶし銀」とはこういう事を指すのだという演奏です。更にエド・シグペンのドラムが完璧にサポートに徹していて素晴らしいです。


話は少し脱線しますが、映画でもレコードやCDでもこの「プリーズ・リクエスト」のように「原題」と「邦題」が作品によっては存在します。

「アビー・ロード」や「ターミネーター」のように原題そのままカタカナの作品もあります。

例えば、オードリー・ヘップバーン主演の名作「ローマの休日」の原題は「Roman Holiday」でストレートな直訳です。

1984年のアメリカのB級ホラー映画で原題「The Toxic Avenger」という作品がありました。これは直訳すると「毒の復讐者」ですが、日本の配給会社が付けた邦題が「悪魔の毒々モンスター」でした。このように少しデフォルメしたコミカルな邦題が功を奏しこの作品はヒットしました。”毒モンスター”を更に”毒々モンスター”にしたことによってコミカル度が増しています。邦題の成功例です。
悪魔の毒々モンスター

僕が言いたかったのは、Pat Metheny Groupの1982年の「Offramp」というアルバムがありました。直訳だと「出口車線」・・・確かにそのまま日本語だとJazzのアルバムとしてはカッコ悪いですね・・・そこで当時の日本の販売レーベルが付けた邦題が何を思ったか「愛のカフェ・オーレ」という全くもって原題とは何もかすりもしない意味不明な邦題でした。その後さすがにこの邦題は却下され、そのまま「オフランプ」というタイトルで現在も販売されています。「愛のカフェ・オーレ」は日本の音楽業界史上最もダサい邦題として語り継がれています。
愛のカフェ・オーレ

すみません~ ”邦題あれこれ・・・”に話がそれてしまいました。

レイ・ブラウンに戻ります!
驚異の1フィンガー

それからレイ・ブラウンで特筆すべきは弦をはじく右手の奏法です。

どんなに速いパッセージも基本的に人差し指1本で演奏します。更に人差し指の側面全体で弾くので音色が太くて豊かなのです。僕がレイ・ブラウンに最も魅了される点はこの「音色の美しさ」です。彼が亡くなって20年近く経ちますが現在でもコントラバスにおけるピチカート(指弾き)の模範的な音色として世界でリスペクトされています。

もしご存じなかったら是非ともレイ・ブラウンの素晴らしいベースサウンドを体験していただきたいと思います。


途中、話が”邦題ネタ”脱線しましたが「歴史を築いた偉大なベーシスト達 第9回」は初めてウッドベース専門のプレイヤー、レイ・ブラウンを紹介させていただきました。(サトーB)