チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden 1937年〜2014年)
アメリカ人の白人ジャズベーシストとしては最高峰の評価を得ているアーティストの一人です。
チャーリーの参加アルバムを書き出すと、リーダーアルバムからサイドメンまでとてつもなく膨大な数になり僕もとても全ては聴ききれていません。
1950年代後半から亡くなるまで約50年に渡り、世界のトップアーティストとして活躍を続けました。
若くして交通事故で亡くなったビル・エバンス・トリオの伝説のベーシスト、スコット・ラファロの出現以降、ウッド・ベースでもハイポジションで速弾きをしまくるスタイルが確立されていきました。ベースソロになると突然音域が1オクターブ上がりギター並の音数で弾きまくるスタイルです。何というか、ある意味“饒舌なベース”です。ベースが通常のバッキングをしている音域でソロを弾いても低音なのでその時の主役としての“メロディー”としては地味なのは確かです。音域を上げて音数も増やせば華やかになります。
しかし・・・チャーリー・ヘイデンは決してそんなプレイはしません。
速弾きなんて絶対しません・・・左腕を伸ばしてハイポジションでパラパラ弾くなんて事は絶対にしません。
“朴訥(ぼくとつ)“という言葉はこの人のためにあるのだと思わせるようなベースを弾きます。
まさに“一音入魂”です。
圧倒的に少ない音数で、普通のベースの音域で音楽を成立させます。
これは饒舌な事より遥かに音楽的に高い次元にいないと出来ない事です。
一音聴いただけで、チャーリー・ヘイデンだ!って分かるほど圧倒的な説得力を持ったサウンドは唯一無二です。
更に興味深いのはチャーリー・ヘイデンは演奏する姿勢や左手のフォームが信じられないほど“悪い”のです。
音大などで“決してこんな姿勢やフォームで演奏してはいけません”みたいな悪い見本として紹介されそうな勢いです。(見出しの画像の姿勢などがその“悪い例”です。)
しかい・・・紡ぎ出されるサウンドは極上なのです・・・

ミズーリの空高く