ザ・名盤シリーズ Vol.3
今回はジャズ・フュージョン界のスーパー・グループ「Weather Report」の最高傑作と誉れ高いアルバム「Heavy Weather」を紹介させていただきます。
チック・コリアの「Return To Forever」とジョー・ザビヌルのこの「Weather Report」は1970代初頭からジャズ・フュージョン界を牽引した2大スーパー・グループです。二人ともジャズ界の帝王マイルス・デイビスのバンドの出身です。

リーダーのジョー・ザビヌルはオーストリア生まれのジャズキーボーディストです。一貫してシンセサイザーなどの新しい楽器を導入して常に新しいサウンドを開拓して行きました。

ザビヌルは1970年に同じくマイルス・デイヴィスのバンド出身のサックスプレイヤー、ウェイン・ショーターと共にこの「Weather Report」を結成し1971年に1stアルバム「Weather Report」を発表して斬新なサウンドでジャズ界に一石を投じます。この時のメンバーは2人の他にベースのミロスラフ・ビトウスとドラム、ドラムのアルフォンス・ムゾーン、パーカッションのアイアート・モレイラの5人です。

「Weather Report」はジョー・ザビヌルとウェイン・ショーターの2人のユニットと言ってしまって差し支えないと思います。この2人意外に在籍したメンバーは20人以上になり、かなり流動的です。
ジョー・ザビヌル

ウェイン・ショーター

「Weather Report」はその後、1年に1枚のペースでアルバムを発表して行きます。

そしてバンドにとって最大の事件は、7枚目のアルバム「Black Market」製作中にベースのアルフォンソ・ジョンソンに代わって、エレクトリック・ベースの存在意義自体に変革をもたらしたジャコ・パストリアスの加入した事でしょう。制作途中のメンバー交代なので「Black Market」では2人にベースが収録されています。

そして今回紹介する8枚目のアルバム「Heavy Weather」ではジャコは全てベースを弾いており、楽曲まで提供しています。

ジャコの功績はここでは語り尽くせないほどの偉大なアーティストなので別の機会にまたゆっくり書かせていただきます。
ジャコ・パストリアス

アルバム「Heavy Weather」の魅力は何と言っても“高い音楽性”と“Pop”という普通は反発し合う二つの要素をザビヌルが見事に融合させた点に尽きます。

高い芸術性を追求すると、どうしても難解な方向へ向かってしまい「分かる人だけに分かれば良い。つまらなく感じる人は音楽性が幼稚だからだ・・・」みたいな傾向に陥りがちですが、このアルバムにはこんな“傲り”は微塵も感じられません。

ひたすら“Pop”です。

それは、M-1「バードランド」に集約されています。誰もが口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディーが、計算され尽くされた見事なアレンジで、とんでもないスキルで演奏されています。

アルバム「Heavy Weather」はその後も、ジャコのフレットレス・ベースとショーターのテナー・サックスが交互に美しいメロディーを奏でるM-2「お前のしるし」、そしてエレキベースの歴史上最も衝撃的にベースが前面にフューチャーされた楽曲M-3「ティーン・タウン」などクオリティーの高い楽曲へと次々と続いて行きます。

そしてフィナーレを飾る、M-8「ハヴォナ」はジャコの曲ですが圧倒的な疾走感で我々に心地よい高揚感を与えてくれます。この曲のベースソロもエレキベース奏者にとってはバイブルと言っても過言ではないほどの高い評価を得ていて現在でも色褪せる事がありません。


「Heavy Weather」はジャズ・フュージョンと言うカテゴリーだけでなく、ポピュラー・ミュージック全般の中でも“名盤”として評価の高いアルバムです。是非とも一聴していただけたら幸いです。(サトーB)