音楽業界用語講座Vol.7
おかげさまでこのシリーズも人気シリーズになりました。

昭和の時代の「バンドマン用語」をレクチャーさせていただいております。

今回初めてこのシリーズをご覧になられる方はおさらいも兼ねてVol.1〜6を遡って読めば、より一層お楽しみいただけると思います。
今回も実践的な使用例から昭和の「バンドマン用語」をレクチャーさせていただきます。
「愛すべき昭和のバンドマン」

A「この前、ラートで行ったバーキャレのドンバ、ドイヒーだった!」
B「ジーマ?」
A「ジーマ!ジーマ!特にターギがバイヤーだった。トウシロでももう少しマイウーだぜ。もうクリビツテンギョー!おまけにラーギャもスイヤー」
B「それはカレオツ!じゃあパイイチクーイしよう!」

実際の会話ではこのように普通の言葉とバンドマン用語がごちゃ混ぜになっています。

まずは単語を一つずつ解説していきましょう。
 
○ラート
「トラ」のことです。とは言っても虎(Tiger)ではなく「エキストラ」の略です。
音楽業界ではプレイヤーの「代役」のことを「トラ」と言います。それが逆さ言葉になると真ん中が伸びて「ラート」になります。

○バーキャレ
「キャバレー」のことです。これは普通に逆さにすると「レーキャバ」もしくは「バレーキャ」と言いそうですが何故かそうは言いません。慣例としか説明のしようがありませんが「バーキャレ」なのです。

○ドンバ
逆さ言葉そのまんまの「バンド」です。

○ドイヒー
「酷い(ひどい)」です。

○ジーマ
そのまんまの「マジ」です。真ん中が伸びます。

○ターギ
「ギター」です。「ターギー」とは伸ばしません。

○「バイヤー」
商業業界の「買い手」ではありません。「やばい」です。

○「トウシロ」
これもそのまま「素人」です。

○「マイウー」
料理の「美味い」と同じですが、演奏の「上手い」もこうなります。

○「クリビツテンギョー」
これはネタとしても有名ですね。「びっくり仰天」です。

○「ラーギャ」
これもそのまま「ギャラ」です。

○「スイヤー」
「安い」で。

○「カレオツ」
「お疲れ様」のこと。ただしこれはいわゆる「タメ口」です。先輩に対して「カレオツ」とは言いません。「様」をつけて「カレオツマーサ」とも言いません。失礼に当たります。
先輩というか目上の人のは普通に「お疲れ様でした」と言います。

○「パイイチクーイ」
これは「パイイチ」と「クーイ」が繋がった例です。
「パイイチ」は「一杯」です。「クーイ」は「行く」です。この場合は「クーイしよう!」で「行こう!」と言う意味になります。「行く事をしよう」と言う表現をします。
話の流れで当然分かるので「お酒を呑みに」は省略されています。
強引に挿入すると「パイイチケーサミーノクーイしよう」となります。

なので、もう一度、

A「この前、ラートで行ったバーキャレのドンバ、ドイヒーだった!」
B「ジーマ?」
A「ジーマ!ジーマ!特にターギがバイヤーだった。トウシロでももう少しマイウーだぜ。もうクリビツテンギョー!おまけにラーギャもスイヤーだった。」
B「それはカレオツ!じゃあパイイチクーイしよう!」

を標準語に翻訳しますと・・・

A「この前、代役で行ったキャバレーのバンド、酷かった!」
B「マジ?」
A「マジ!マジ!特にギターがヤバかった。素人でももう少し上手だぜ。もうびっくり仰天!おまけにギャラも安かった。」
B「それはお疲れ様!じゃあ一杯行こう!」

となります。
「パイイチ」

話の流れと「飲みに行くこと」は何の関連もありませんが、昭和のバンドマンは何かにかこつけては赤提灯に向かうのでした・・・

次回もお楽しみに!(サトーB)